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スペイン語の法と時制の完全ガイド
スペイン語の動詞の活用は多く、初心者にとっては難解に感じられることがあります。
しかし、全体像を理解することで学習の道筋が明確になります。
ここでは、動詞の「法」と「時制」について詳しく解説し、各時制の使い方と例文を紹介します。
法と時制の基本
スペイン語の動詞には「法」(Modos)と「時制」(Tiempos verbales)があります。法には以下の4種類があります:
- 直説法(Indicativo) – 現実の出来事や事実を表す。
- 条件法(Condicional) – 仮定や推測を表す。
- 接続法(Subjuntivo) – 願望、不確実な事柄を表す。
- 命令法(Imperativo) – 指示や命令を表す。
各法にはさらに、現在形、過去形、未来形などの時制が存在します。以下では、主な時制とその使い方について説明します。
実は、スペイン語の時制には現在ではあまり使われていないものもあります。それについては、ここでは取り上げないことにします。
何種類、覚える必要があるの?
覚えたいスペイン語の時制の種類は、命令形を入れて全部でざっくり14種類あります。そのうち、直説法は7種類です。
このページでは各時制の用法について説明し、簡単な例文を載せています。
直説法の時制
現在形(Presente)
現在形は、現在の事実や状況を表します。また、未来の予定を表すこともあります。
例えば、「普段は朝7時に起きます」のような一般的なこと、「私の友達は全員携帯を持ってます」のような事実を言うときは現在形です。
例:
「普段は朝7時に起きます」
Normalmente me levanto a las 7 de la mañana.
「私の友達は全員携帯を持っています」
Todos mis amigos tienen el cellular.
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現在完了形~Pretérito Perfecto~
現在完了は、過去の行為が現在に影響を与えている場合や、経験を表す時に使います。
例:
「今年はすでに3回旅行に行きました。」
Este año he viajado tres veces.
またスペインのスペイン語で終わったアクションでも現在完了になる場合があります。
「今日」「今週」「今月」「今季」「今年」など、ちょうど日本語で「今」とつくような表現を使う場合です)
例:
「今朝、部屋を片付けました。」
Esta mañana he ordenado mi habitación.
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点過去(Pretérito Indefinido)
点過去は、過去のある時点で完了した行為を表します。
(キーワード:「去年」「5年前」など)
例えば、「3年前初めてスペインに行きました」のような文は、過去の具体的なタイミングを含んでいるので点過去です。
例:
「3年前初めてスペインに行きました」
Visité a España por primera vez hace tres años
「昨日、公園に行きました。」
Ayer fui al parque.
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線過去(Pretérito Imperfecto)
過去の出来事や状態で始まりと終わりが特に明確でないことを説明したり、過去に習慣として行っていた動作などを表します。
例:
「子供の頃、よくサッカーをしていました。」
Cuando era niño, jugaba al fútbol frecuentemente.
また、過去の状況を説明している場合も線過去になります。
例えば、昔の話をするとき。
「彼は子供の頃、おとなしい子で、いつも本を読んでいた。中学に入ってから、バレーをはじめて、とても活発になった」という場合。
Cuando era pequeño, él era tranquilo y siempre leía libros. Después de entrar a la secundaria, empezó a jugar al voleibol y se volvió un chico muy activo.
前半の、era pequeño「子供だった時」、era tranquilo「おとなしい子だった」、leía libros「本を読んでいた」は、始まりと終わりが不明でかつての習慣を表現しているので線過去。
後半の、empezó 「始める」は、動作として一回であること、volvió un chico muy activo「活発になった」はそうなったという結論なので点過去になります。
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過去完了(Pretérito Pluscuamperfecto)
過去完了は、過去のある時点よりもさらに前に完了していた行為を表します。
例えば、「昨日スーパーに行ったら、セールは午前中で終わっていた」のように、「~した時(過去のある時点)、・・・していた(すでに終わっていた。さらに過去の事象)」のような表現で過去完了を使用します。
例:
「スーパーに着いた時には、セールはもう終わっていた」
Cuando llegué al supermercado, ya habían terminado las rebajas.
「到着した時には、すでに映画が始まっていました。」
Cuando llegué, la película ya había comenzado.
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未来形(Futuro Simple)
未来形は、未来の予定や予測を表します。
例えば、
「来週のミーティングで決まったら、連絡するよ」は未来の予定や意思。
「納期が前倒しになったら、大変になるだろう」は未来の予測です。
他には、空の雲行きが怪しいのを見て「明日は雨になるでしょう」というとき。このような推測も未来形になります。
例:
「来週のミーティングで決まったら、連絡するよ」
Si se decide eso en la reunión de la semana que viene, te avisaré.
「納期が前倒しになったら、この仕事を終わらせるのが大変になるだろう」
Si adelantan la fecha de entrega, será dificil terminar este trabajo.
「明日は雪になるでしょう」
Mañana tal vez nevará.
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未来完了(Futuro Compuesto)
未来のある時点または、現時点で完了していると推測されること表します。
※過去に起こった事柄の推測は過去未来形でも表せます。
未来のある時点で完了していることとは「(~までには)…しているだろう」という文。
現時点で完了していると推測されることは「(もう)~しているだろう」という文です。
例:
「明日までにこの本を読み終わっているでしょう。」
Para mañana, habré terminado de leer este libro.
「もう彼女は夕食を終えているだろうから電話してみるよ」
Ya ella habrá acabado de cenar, así que voy a llamarla.
可能法(Condicional Simple)
可能法過去形(過去未来形)(Condicional Simple)
過去の事柄について推測で話すとき、仮定文での未来の推測を話すとき、助言、提案、意見を丁寧に言うとき(婉曲表現)、過去から見た未来について話すとき(主節との時制の一致)に使用します。
いろいろな用法があるので、1つずつ確認します。
・過去の事柄についての推測は「~だったのだろう」
例:
「昨夜彼に何度か電話したけど、電話に出なかった」「寝てたのかもね」
Anoche le llamé un par de veces y no me contestó.
Tal vez estaría durmiendo.
・ある条件下での現在や未来の事柄についての推測「~だろう」
SiやAunqueで示した条件文(仮定)に続いて、「~だろう」という文(帰結節)に用います。
例:
「私ならそんな高い靴は買わないよ」
Yo no compraría unos zapatos tan caros.
例:
「私が君なら、それはしないだろうな」
Yo que tú, no lo haría.
・現在または未来の事柄についての助言、提案、意見で丁寧表現(婉曲表現)「~だろう」「していただけますか」「したいと思います」
例:
「どちらを選ぶのが良いでしょうか?」
¿Cuál sería mejor elegir?
例:
「どうすればそのセミナーに参加できるか知りたいと思います」
Me gustaría conocer cómo puedo participar en este seminario.
・過去から見た未来(主節との時制の一致)
例:
「私の上司は明日から出張だと言っていました。」
Mi jefe me dijo que viajaría de trabajo a partir de mañana.
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条件法過去(Condicional Compuesto)
過去の時点での希望・要求や過去の時点での推測を説明に使用します。また、現在・過去の事実と反する条件文(仮定)の帰結文(条件文は接続法過去また接続法過去完了)に使用します。
・過去の時点での希望や要求(~だっただろう)
例:
「電話してくれてもよかったのに」
Habrías podido llamarme.
・過去の時点での推測を説明
例:
「用事があったのだろうと思った」
Pensé que habrías tenido una cita.
・現在・過去の事実と反する条件文(仮定)の帰結文(条件文は接続法過去また接続法過去完了)
例:
「電話してくれたら、パーティに行けたのに(行くことができたのに)」
Si me hubieras llamado, habría podido ir a la fiesta.
直説法の時制を確認したら、実際に例文で確認してみましょう。 |
接続法の時制
さて、ここからは接続法です。接続法現在は、不確実なことや希望、命令、感情を表す際に使用されます。
接続法は従属節(名詞節、形容詞節、副詞節)で使います。
従属節とは? 「私は、彼が今日来るとは思わない」の文章で確認します。 例えば、この文では、メイン(主節)の主語と動詞は「私は」「思わない」です。 「彼が今日来る」の部分が従属節です。 No creo que él venga hoy. |
接続法現在(Presente Subjuntivo)
接続法現在は、主節が直説法の現在形、現在完了形、未来形、未来完了形の文で、不確実なこと、仮想した内容を話すときに使います。
例えば、「私は今日雨が降るとは思いません」の「雨が降る」の部分が接続法現在になります。
例:
「私は今日雨が降るとは思いません」
No creo que llueva hoy.
lluevaはllover(雨が降る)の動詞の接続法現在の活用です。
ここでは、不確実な未来について話しているため、接続法のlluevaになります。
「接続法にするかどうか」は、文全体の意味や話し手の言いたいことに大きく左右されます。
動詞Crear~(~と思う)の文は肯定形の場合、不確実ではなくなります。
そのため、[Creo que + 直説法]になります。
「私は今日雨が降ると思う」
Creo que llueve hoy.
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接続法現在完了(Presente Perfecto Subjuntivo)
接続法現在完了は、主節が現在、未来、現在完了、命令時制で、従属節の接続動詞の行為がすでに完了しているときに使用します。
例えば、「私は彼らがここに住んでいたとは思わない。」の「ここに住んでいた」の部分が接続法現在完了になります。
例:
「私は彼らがここに住んでいたとは思わない」
No creo que hayan vivido aquí.
例:
「私は今日雨が降ったとは思いません」
No creo que haya llovido hoy.
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接続法過去(Imperfecto Subjuntivo)
接続法過去は、過去の不確実なことや仮想の状況を表します。
例:
「もし私が彼女だったら、その仕事を引き受けただろう。」
Si yo fuera ella, habría aceptado ese trabajo.
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接続法過去完了(Pasado Perfecto Subjuntivo)
接続法現在は、主節が現在形の従属節で使用します。
例えば、「私は雨が降ったとは思いませんでした」の「雨が降った」の部分が接続法過去完了になります。
「私は雨が降ったとは思いませんでした」
No creí que hubiera llovido.
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接続法の時制を確認したら、実際に例文で確認してみましょう。 |
命令法(Imperativo)
命令形には時制はありませんが、肯定命令と否定命令があります。
また二人称がtúかustedかさらに複数かどうかで、活用が変化します。
肯定命令
「(主語はtú)気を付けて!」
¡Cuídate!
「(主語はuested)お気をつけて!」
¡Cuídese!
「(主語はvosotros)気を付けて!」
¡Cuidaos!
「(主語はuestedes)お気をつけて!」
¡Cuidense!
否定命令
「(主語はtú)心配しないで。」
No te preocupes.
「(主語はusted)お気をつけて!」
No se preocupe.
「(主語はvosotros)気を付けて!」
No os preocupéis.
「(主語はustedes)お気をつけて!」
No se preocupen.
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まとめ
スペイン語の動詞の法と時制は、多様な表現を可能にします。それぞれの時制が持つ微妙なニュアンスを理解することで、より自然で適切な表現ができるようになります。これらの時制の理解を深め、日常生活や会話で活用していきましょう。繰り返し練習して、自然に使えるようになることが目標です。
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