スペイン語の受身形(受動態) | 3つの形の使い分け

スペイン語学習

スペイン語の受身形(受動態)には主に3つの形があります:

  • ser + 過去分詞 (行為・動作を表す)
  • estar + 過去分詞 (状態を表す)
  • se + 動詞 (再帰受身)

再帰受身(se + 動詞)について:
再帰受身は「se + 動詞の三人称形」で表され、スペイン語では最も自然で頻繁に使われる受動表現です。詳しくは再帰動詞のページをご覧ください。

このページでは、ser + 過去分詞estar + 過去分詞の2つの用法について、再帰受身との違いも含めて解説します。

1. ser + 過去分詞(行為・動作を表す受動態)

基本的な使い方

ser + 過去分詞は、ある行為や動作が行われることを表す受動態です。日本語の「~される」「~された」に相当します。行為者(誰によって行われたか)を示す場合は、por + 行為者を付け加えます。

構造

主語 + ser(活用形) + 過去分詞 + (por + 行為者)
重要: 過去分詞は主語の性・数に一致させる必要があります。

例文

現在時制

La casa es construida por los obreros.
(その家は労働者たちによって建てられる。)

Los documentos son firmados por el director.
(書類は部長によって署名される。)

過去時制

La novela fue escrita por García Márquez.
(その小説はガルシア・マルケスによって書かれた。)

Las cartas fueron enviadas ayer.
(手紙は昨日送られた。)

未来時制

El proyecto será presentado mañana.
(そのプロジェクトは明日発表されるだろう。)

Los premios serán entregados por el presidente.
(賞は社長によって授与されるだろう。)

使用場面

この形は、特に以下のような場面でよく使われます:

  • フォーマルな文章や報道
  • 行為者を明示したい場合
  • 行為そのものを強調したい場合

2. estar + 過去分詞(状態を表す受動態)

基本的な使い方

estar + 過去分詞は、ある行為の結果として生じた状態を表します。動作そのものではなく、「すでに~されている状態」を示します。

構造

主語 + estar(活用形) + 過去分詞
重要: 過去分詞は主語の性・数に一致させる必要があります。

例文

La ventana está rota.
(窓は割れている。)
※割られた結果、今も割れた状態にある

La puerta está cerrada.
(ドアは閉まっている。)
※閉められた結果、今も閉まった状態にある

Los ejercicios están terminados.
(練習問題は終わっている。)
※終えられた結果、今も完了した状態にある

El restaurante está abierto.
(レストランは開いている。)

Las maletas están preparadas.
(スーツケースは準備されている。)

使用場面

この形は、以下のような場面で使われます:

  • 現在の状態を説明する場合
  • 完了した行為の結果を示す場合
  • 日常会話

ser と estar の使い分け

両者の違いを理解するために、同じ動詞を使った例を比較してみましょう。

cerrar(閉める)の場合

La tienda es cerrada a las 8.
(店は8時に閉められる。)
→ 閉める行為に焦点

La tienda está cerrada.
(店は閉まっている。)
→ 閉まっている状態に焦点

escribir(書く)の場合

El informe es escrito por el equipo.
(報告書はチームによって書かれる。)
→ 書く行為に焦点

El informe está escrito.
(報告書は書かれている。)
→ すでに書き上がった状態に焦点


3つの受動表現の比較

同じ内容を3つの形で表現した場合の違いを見てみましょう。

vender(売る)の場合

① Esta casa es vendida por una agencia.
(この家は不動産業者によって売られる。)
ser + 過去分詞: 売る行為を強調、行為者を明示

② Esta casa está vendida.
(この家は売れている。)
estar + 過去分詞: すでに売れた状態を表す

③ Se vende esta casa.
(この家は売りに出されている。/ この家売ります。)
再帰受身(se + 動詞): 最も自然で日常的な表現

hablar(話す)の場合

① El español es hablado en 20 países.
(スペイン語は20カ国で話されている。)
ser + 過去分詞: フォーマルな表現

② (estar + 過去分詞は通常使われません)

③ Se habla español en 20 países.
(20カ国でスペイン語が話されている。)
再帰受身(se + 動詞): より自然で一般的な表現

使い分けのポイント:

  • ser + 過去分詞: フォーマルな文章、行為者を示したい時、書き言葉
  • estar + 過去分詞: 結果として生じた状態を説明する時
  • se + 動詞(再帰受身): 日常会話、一般的な事実、最も自然な表現

実際には、再帰受身(se + 動詞)が最も頻繁に使われます。詳しくは再帰動詞のページをご覧ください。


まとめ

用法 焦点 使用頻度
ser + 過去分詞 行為・動作 動作そのもの、行為者の明示 書き言葉、フォーマル
estar + 過去分詞 状態 結果としての状態 日常会話、状態説明
se + 動詞 受動的意味 一般的な事実、自然な受身 最も頻繁、日常的
覚え方のヒント:

  • ser = 「~される」(動作)
  • estar = 「~されている」(状態)

この区別を意識することで、スペイン語の受動態をより正確に使いこなせるようになります。

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